課題2 ITを活用した効率化と消費エネルギー削減
目標 田井地区でのシステムの実装、運用、改良
本課題は、宮城県東松島市の沿岸漁業において実証実験を行った小型スマートブイ(図1)を、舞鶴市田井地区の定置網漁(図2)のニーズに合わせて改良して活用することにより、アフター/ウィズコロナのIT漁業を確立する。
(1)1年目
【目標】センサーやデータ収集の改良、機器による業務効率化の目標を設定
【実施内容】観測ブイの設置とシステムの構築、効率化できる業務リストと計画作成
- 既存スマートブイ(センサー装置、通信装置を具備したブイ)を用いたセンシングデータの収集
- 田井地区の漁業従事者の定置網へのスマートブイの設置と運用。
- 設置スマートブイによる連続の環境観測(多層水温、波高)の実施と連続観測における課題を抽出する。
- 田井漁港周辺の追加すべき観測データの洗い出しと観測手法を検討する。
- 観測データ、収集データを利用した田井地区の漁港における漁獲量推定モデルの構築(試作)
- スマートブイによる局所環境データに加え、気象庁ならびに官公庁(県、市や水産研究所など)から公開されている環境データを収集する。
- 田井漁港での日毎水揚げ情報(魚種、魚種ごとの漁獲量ほか)を収集する。加えて、公開されている近隣の漁港の毎水揚げ情報を収集する。
- 収集開始から3か月以上分のデータと水揚げ情報をベースに、漁獲量推定モデルを試験的に構築する。
(2)2年目
【目標】実証実験と改良、現場での効率化の評価
【実施内容】定置網漁での使用、効率化の実施と評価指標作成
- スマートブイの改良
- 追加すべき観測データを観測するためのセンサーを組み込む。想定するセンサーとして、安全な操業を可能とする簡易的かつ安価で計測可能な計測センサーなど。
- 改良したスマートブイを漁場に設置と評価を実施する。
- 田井地区の漁港周辺の追加すべき観測データに対応したセンシング方式を開発し実装する。その際、必要なセンシングデータの処理をエッジ(スマートブイ等の末端の機器)等で処理することを考慮する。
- 観測データ、収集データを利用した田井地区の漁港における漁獲量推定モデルによる漁獲量推定の実施
- 1年目で収集したスマートブイによる局所環境データならびに気象庁ならびに官公庁(県、市や水産研究所など)から公開されている環境データ、ならびに、水揚げ情報をもとに構築された漁獲量推定モデルから魚種推定、漁獲量推定を試みる。
- 推定した魚種、漁獲量と実際の魚種、漁獲量を比較評価する。
- 新たに収集したスマートブイによる局所環境データならびに気象庁ならびに官公庁(県、市や水産研究所など)から公開されている環境データ、ならびに、水揚げ情報から獲量推定モデルを更新する。
- 上記a)~c)を1年間繰り返し、獲量推定モデルを更新し推定結果の確からしさを評価する。
- 魚種、漁獲量推定結果による操業への影響や結果などを田井地区の漁業従事者からヒアリングを行い、本取り組みの評価指標を明らかにする。
(3)3年目
【目標】定置網漁への他の適用例を提示、対象業務の範囲を拡大
【実施内容】定置網漁での使用、業務効率化の実施と評価
- 漁獲量推定モデルの高度化による魚種、漁獲量の推定精度の向上
- 観測データ、収集データを利用した田井漁港における漁獲量推定モデルによる漁獲量推定を継続し、魚種、漁獲量の推定精度の向上を進める。
- 目標とする推定精度を定めるために、操業への影響や結果などを明らかにする。
- 田井地区以外の漁場への適用
- 田井地区以外の漁場または環境条件の異なる定置網へ本取り組みを適用する。
- 魚種、漁獲量推定やスマートブイによる局所環境データによる操業効率化効果と総合的な安全確保への効果を図る。